「採用代行サービスを利用してみたいけど、違法って聞いたことあるから不安だな…」
そう思い導入を渋っている企業もいらっしゃるのではないでしょうか?
採用代行サービスは昨今の人手不足問題から様々な企業からのニーズがあり、その必要性は年々高まっています。
そこで、採用代行サービスを利用したいけど踏み出せずにいる企業のために、違法にならないためのノウハウや情報を本記事にてまとめました。
これらは実際に厚生労働省が作成している労働基準法や職業安定法に則って作成しております。この記事に記載していることは、国が定めていることを中心にまとめているので、限りなく違法になる可能性は低いです。
ポイントは、採用代行サービスを利用するうえでの基準や許可方法を把握し、様々な考えうるリスクを把握して行動することです。
この記事を読み終えたころには、採用代行サービスの利用で違法となることを100%避けることができ、自社に合った採用代行サービス会社を選定でき、効率よく採用活動を進めていくことができるようになるはずです。
目次
採用代行は基準を満たし、許可を取っていれば違法ではない!
採用代行サービスは利用するにあたって、定められた基準を満たし必要な許可を得られていれば違法とはなりません。違法とならないための基準や必要な許可を以下で紹介していきます。
職業安定法や労働基準法などに定められた基準を満たしていれば違法にならない。
採用代行サービスを利用するにあたっての違法とならないための基準は、「委託企業側」「受託企業側」「その他」の3つの視点の基準があります。
① 委託企業側の基準
・職業安定法その他次に掲げる労働関係法令に係る重大な違反がないものとすること。
下記労働基準法を守れているかどうかという基準となります。
職業安定法(令和四年法律第十二号による改正)
この箇所はほとんどの企業はクリアしている当たり前の基準となるので、よっぽど法律すれすれの労働環境を設けていない限り該当することはないでしょう。
・募集に係る労働条件が適正であること。
原則として賃金が毎月支払われているか、同じ地域・同じ業種との賃金水準と比べても賃金が著しく低くないかなど、労働条件が適正に設定されているかどうかも基準となります。
・募集に係る業務内容及び労働条件が明示されていること。
例えば営業の募集を実施しようとする際には、
業務内容:何の営業をするのか、営業活動以外にも資料作成などの業務があるのかなど業務にあたるものはすべて具体的に明示する。
労働条件:賃金はいくらか、何時から何時まで働くのか、残業代は出るのかなど基本的な労働条件は具体的かつ余すことなく明示しなくてはなりません。
以上のようなことを職種や企業ごとに明示しなければなりません。どこまで明示しなければならないのかがわからない場合は、採用代行業者や厚生労働省に直接聞くと良いでしょう。
・適用事業所については社会・労働保険に適切に加入していること。
社会保険のへの加入が美無づけられている、もしくは社会保険の適用を認められた事業所についてはそれぞれ適切な手続きで社会保険・労働保険に加入していることが基準の1つとなります。
もしも手続き方法が不明だ、手続きを適切にできているか不安だという場合は下記を参考に手続きを進めてもらうと良いでしょう。また、適切に手続きできているかは直接問い合わせることが1番の近道となるでしょう。
※適用事業所についての諸手続き
・厚生労働大臣の認可を受けた報酬以外の財物を与えるものでないものとすること。
あらかじめ厚生労働大臣に認可を受けた報酬の額以上の報酬を与えたり、認可を受けた報酬以外の財物(金品やサービス券など)を与えることは基準を満たすうえでNGの行為とされています。
② 受託企業の基準
・職業安定法その他次に掲げる労働関係法令に係る重大な違反がないものとすること。
職業安定法や各種労働に関する法令に関して重大な違反があるかどうかも基準の1つとなっています。労働基準法を含む7つの法律における法令が対象となっています。強制労働に関することや公衆衛生、雇用機会、出産・育児にに関する規定など基本的にはどの企業も設けていなければならない整備されている内容ですので、自社が基準を満たしていないというようなことは起こりえないでしょう。もし、自社は満たしていない、満たしているか不安だという場合は、採用代行や採用コンサルティングを行っている会社または、直接厚生労働省や都道府県労働局長に聞いてみることも確実かつ有効な手段です。
・成年被後見人又は被保佐人でないこと。
募集を受託する方の判断能力が低下しているかどうか、その結果成年後見人や保佐人がついているかどうかが基準となります。当然被後見人・保佐人となっている場合は許可の基準を満たすことはできません。
・労働関係法令及び募集内容、職種に関して十分な知識を有している者であること。
労働に関する各種法律、また依頼された募集内容や職種について十分な知識や理解があるかどうかが基準となります。これまでの実績や取引内容を問い合わせやHPから確認しましょう。基本的にHPがしっかりと作成されており、取引事例などを公開しているところは基準を満たしていると考えても良いでしょう。
③ その他の基準
・募集を行おうとする期間が1年を超えないものであるものとすること。
こちらの基準は記載通りで委託企業が採用活動において募集をかける際に、募集期間が1年を超えないものに対しては、採用代行サービスの適用基準を満たすことができます。1年を超えるものに関しては、1年ごとに募集内容の更新を行えば、こちらの基準を満たすことができるので、注意して利用しましょう。
以上のような各基準が定められています。
これらの基準は労働基準法や湾港労働法などの労働に関する様々な法律により定められており、委託企業・受託企業双方が十分に満たしている必要があり、採用代行サービスを検討するときにはまず自社がこれらの基準を満たしているのか、さらに受託企業がこれらの基準を満たしているのかを十分に確認してサービスの利用企業を決定していく必要があります。
厚生労働大臣や都道府県労働局長に許可を届け出ることで、違法にならない!
採用代行サービスを利用するにあたって、委託企業と受託企業の双方が厚生労働大臣や都道府県労働局長が定める
許可基準を満たした上で、届け出をしていれば違法に当たることはありません。
その必要な許可とは、職業安定法に記載してある以下の許可となります。
(委託募集)
第三十六条 労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
引用:職業安定法第三十六条
(権限の委任)
第六十条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令の定めるところによつて、職業安定主管局長又は都道府県労働局長に委任することができる。
引用:職業安定法第六十条
〈採用代行サービス利用にあたる許可の取り方〉
委託企業は「委託募集許可等申請書」に必要事項を記入し、都道府県労働局長に提出します。その際に申請書の内容証明に必要な帳簿や書類を同時に提出しなければなりません。また、申請の手続きは採用代行サービス受託企業が代わりに行うこともできます。その際に全国に複数の拠点がある場合は、そのうちの1つの都道府県労働局長にまとめて申請書を提出し、その部数に応じて提出先以外の都道府県労働局の数だけ「委託募集許可等申請書」の写しを提出しなければなりません。最後に許可申請先によって提出期日が異なるため、以下に記載します。
・厚生労働大臣の許可…募集を開始する月の21日前までに、正本1部及び写1部
・都道府県労働局長の許可…は募集を開始する月の14日前までに、正本1部
許可がなくても違法にならない採用代行2つのパターン
前章で採用代行サービスには許可が必要だということを説明しましたが、実は許可がいらない場合もございます。この章ではそんな許可がいらない2つのパターンをご紹介します。
人材紹介を利用する場合
人材紹介やヘッドハンティングなどを通じて、自社の求める人材を紹介してもらう場合、採用代行サービスのいわゆる「委託募集」ではなく「職業紹介」にあたるため、委託企業側は特に必要な許可はございません。
適性検査のみを委託する場合
求人募集や面接などの選考は自社で行い、適性検査等の試験問題の作成や実施を委託する場合も「委託募集」に該当しないため、特に何か許可を取得する必要はありません。
採用代行で違法にならないための3つの対策
採用代行サービスを利用するにあたって、違法とならないためにできる対策が2つあります。それぞれこの章で見ていきましょう。
適正な採用代行業者を選定する。
1つ目の対策として、適正な採用代行業者を選定することが大事となってきます。以下に適正な採用代行業者を選定する基準を紹介していきます。
・採用代行業者としての許可を取っているか
1.2で紹介したような、職業安定法で定められている許可を取っている採用代行業者を選定しましょう。いくらこちらが正しい許可を取得していたとしても、取引する採用代行業者が許可を取得していないと違法に巻き込まれてしまうので、事前に許可の有無を確認しておくことは非常に大事です。
許可については、利用を考えている企業の会社概要や採用代行サービスについてのページにて確認することができます。ただ、企業によっては今お伝えしたページに許可の有無の記載がないこともあるので、そのようなときは直接利用を検討している企業に問い合わせて確認することが何より確実に必要な情報を得られるでしょう。
・採用代行業者としての過去の事例や実績があるか
採用代行業者として過去にどんな実績があり、対応事例としてどんなことがあるのか確認しておきましょう。許可を取得し、依頼したい業務にも対応できて要望もしっかりと聞いてもらえたうえで、じゃあ実際にはどんな企業にどんな対応実績があるのかを知っておくとより安心してお願いすることができます。当然企業ごとに対応方法や効果は違うので、一概に自社に当てはまるとは考え難いですが、対応実績があることで採用代行としての対応に対する安心感や様々なノウハウがあると判断できるので、できる限り実績のある業者にお願いすることができるとよいでしょう。仮に実績がない場合は許可を取得していない可能性もありますので、注意が必要です。
自社が委託企業側の基準を満たしているか確認する。
本記事の1章を振り返って、自社が採用代行サービスを利用するにあたって必要な許可基準を満たしているか確認しましょう。労働基準法に記載されている法令を遵守できているか、業務内容や労働条件は適正でそれらがしっかり明示されているかなど少なくとも3週はチェックしましょう。社内でダブルチェックすることもおすすめです。会社として基本的なことを抑えていれば、許可基準を下回ることは少ないですが、確認事項は山のようにあるので、関係各所を巻き込みながら進めていくと良いでしょう。
どうしても判断がつかない場合は厚生労働省や都道府県労働局長に問い合わせる
インターネットでひたすら情報を探すことも大事ですが、そもそも採用代行業務の許可を出している厚生労働省や都道府県労働局長に直接聞いてみることが1番の近道かつ正確な情報を手に入れることができます。採用代行業務を取り入れるか否かにある程度の検討の時間がある場合は、インターネットで探すことも手段の1つとなりますが、時間がないようなときには直接管轄しているところに聞くことが何よりも早くてほしい情報が手に入ります。中には適正な採用代行業者の選定基準を教えてくれる場合もあるでしょう。
採用代行で違法となる場合の3つのリスク
採用代行で違法になってしまう際のリスクはそれぞれ委託企業・受託企業・求職者とそれぞれに発生します。
それぞれのリスクについて確認していきましょう。
委託企業のリスク
委託企業側のリスクとしては、
・業務に支障が出る
・選考のやり直し
・企業イメージの低下
のようなことがリスクとして挙げられます。当然、計画していた採用計画は練り直しが必要になってきますし、これまで委託して任せていた選考も1から見直し不必要に落とされた応募者に連絡するなどの対応も必要になってきます。さらに、企業イメージの低下も避けられず、取引の停止や契約取り消しなど採用以外の面でも大きな支障をきたすこととなるでしょう。長期的な損失を出すことは避けられないので、しっかりと事前の下調べをしておく必要があります。利用を検討している企業は、採用代行に必要な許可の届け出をしているのか、過去に違法性のある行動を取っていなかったかなど、インターネットで調べたり実際に取引企業や厚生労働省、都道府県労働局に直接問い合わせてみることも手段の一つとして有効です。
受託企業のリスク
受託企業側のリスクとしては、
・利益がなくなる
・信頼が落ちる
・許可が取り消しになる
のようなことが挙げられます。特に、採用代行を生業としている企業では大きく利益を失うこととなります。また、信頼を失うことは避けられず、仮に受託企業側に非はなくとも調査不足や違法行為に手を貸したなど、あらぬ噂が立つことも現代のネット社会では十分にありうるので気を付ける必要があるでしょう。さらに、厚生労働省や都道府県労働局長に届け出ていた許可が取り消しになり、しばらくの間採用代行サービスを取り扱えなくなる可能性もあります。
求職者側のリスク
求職者側のリスクとしては、
・選考の取り消し
・実態とのミスマッチ
・個人情報の流出
のようなことが挙げられます。内定や進んでいた選考が取り消しとなり、求職者の就職活動に支障が出ることは避けられないでしょう。また、実際に認識していた業務イメージや社内の雰囲気などにミスマッチが起こり早期退職などにつながる可能性が高いでしょう。さらには、一番重要なことは個人情報の流出をしてしまう恐れがあるということです。このようなリスクは通常の就職活動においても十分に注意すべき問題ではありますが、責任問題を問われる可能性もあるため、多方面に向けてリスクがあることを認識して取り扱いましょう。
採用代行の違法性についてのまとめ
最後に採用代行サービスの違法性についてここまでの内容をまとめていきます。
・採用代行は基準を満たし、許可を得ていれば違法にはならない。
・人材紹介や募集は自社で行う場合は許可がいらない。
・採用代行で違法とならないためには対策が2つある。
・採用代行で違法した場合にそれぞれの立場でリスクがある。
上記の内容をしっかりと把握したうえで、採用代行サービスを利用するとよいでしょう。基本的に決まっている手順をルールに則って遂行することで違法となることはありません。それでも不安であれば本記事を何度も読み返す、厚生労働省や都道府県労働局長に聞いてみるなどしてより自信と確実性を持ってサービスを依頼することをおすすめします。