「中途入社時の入社手続きに必要な書類って何だろう」
「必要な書類を整理できておらず案内が心配…。」
「いつまでに何の書類が必要なのか」
このような疑問や悩みがある人事担当者の方はいらっしゃいませんか?
中途入社の手続きの流れを把握することで、
・内定者に安心感を与えることができる
・お互い気持ちよく入社日を迎えることができる
といったメリットがあります。
本記事では、中途採用における入社手続きを「入社前」と「入社後」で流れとともに必要書類についても解説します。
初めて中途採用の入社手続きを行う!という人事担当者の方にも役立つ記事になっているので、中途採用の入社手続きにお困りの方は是非参考にしてみてください。
目次
- 1 中途採用の入社手続き【入社前編】
- 1.1 中途採用の入社手続き★内定者に準備してもらうもの
- 1.2 マイナンバー・本人確認書類(中途採用入社手続きに必要)
- 1.3 扶養親族の有無・必要書類の取得(中途採用入社手続きの場合多数)
- 1.4 前職の源泉徴収票(中途採用入社手続き時は必ず)
- 1.5 給与所得者異動届出書
- 1.6 給与所得扶養控除等申告書の記載依頼
- 1.7 給与振込先口座情報(給与振込同意書)
- 1.8 雇用保険被保険者証
- 1.9 中途採用 入社手続きの必須書類とそれ以外の書類
- 1.10 中途採用の入社手続き★会社が準備しておくもの
- 1.11 雇用契約書
- 1.12 採用通知書(内定通知書)
- 1.13 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿
- 1.14 メールアドレスの発行・アカウント作成や制服・社用PCなどの備品準備
- 1.15 入社初日の流れの打ち合わせ
- 2 中途採用の入社手続き【入社後編】
- 3 中途採用の入社手続き★入社後早めに行うべきこと
- 4 中途採用の入社手続き★+αで入社前のリマインドメールをするとさらに良い!感謝を伝え、信頼関係を築いておく
- 5 中途採用の入社手続き まとめ
中途採用の入社手続き【入社前編】
ついに人材を採用できた!となった後は、「中途採用の入社手続き」を進めていく必要があります。
無駄な工数を無くし、内定者にも安心して入社していただくために丁寧に準備と案内を行いましょう。
この章では、中途採用の入社前における必要な手続きについて解説していきます。
その前に、「内定~入社までの流れ」について簡単に説明します。
中途採用★内定~入社までの流れ★
- 内定の連絡
- 採用通知書(内定通知書)の送付
- 内定承諾or辞退の確認
- 雇用契約の締結
- 入社日の決定
- 入社
また、中途採用の入社手続きにあたり、必要となるチェックリストをまとめているので、是非ご活用ください!
◆中途採用 入社手続き チェックリスト
https://docs.google.com/spreadsheets/d/13yUMfthPvULBVpFWjC4NQqTbVkFmP0x2R_GX4g3kyMM/edit?gid=1978569136#gid=1978569
中途採用の入社手続き★内定者に準備してもらうもの
入社後、スムーズに進められるように、内定者には以下の書類を準備していただきます。
準備してもらうもの
・マイナンバー・本人確認
・扶養親族の有無・必要書類の取得
・前職の源泉徴収票
・給与所得者異動届出書
・給与所得扶養控除等申告書の記載依頼
・給与振込先口座情報(給与振込同意書)
・雇用保険被保険者証
マイナンバー・本人確認書類(中途採用入社手続きに必要)
「マイナンバー」は、雇用保険への加入や健康保険、厚生年金加入時、年末調整といった手続きに必要です。
また、配偶者が国民年金第3号被保険者(※1)となる時や扶養家族がいる場合は、その家族のマイナンバーも必要となります。
マイナンバーカードは個人情報であるため、提出いただく際には用途をしっかり伝えるようにしましょう。
マイナンバーカードがあるか無いかで、提出方法が異なるので注意してください。
マイナンバーカードを既に取得している場合、マイナンバーカードの両面コピーを用意してもらいます。
取得しておらず、通知カードしか無いという場合は本人確認が可能な書類を別途提出してもらう必要があります。
本人確認書類は、運転免許証やパスポートなどの写真付きのものが必要です。
(※1)年収が130万円未満であり、かつ配偶者の年収の2分の1未満の方
扶養親族の有無・必要書類の取得(中途採用入社手続きの場合多数)
中途採用の場合は、扶養家族がいる場合があります。
扶養者(内定者)の健康保険証を発行するにあたり、戸籍謄本などを添付する必要があるため、内定者に扶養家族がいるかどうかを確認し、入社前に取得してもらうようにしましょう。
前職の源泉徴収票(中途採用入社手続き時は必ず)
「源泉徴収票」は、年末調整の際に必要です。
入社する年に別の職場での収入があった場合は、前の職場から源泉徴収票をもらうように依頼しましょう。
年末調整の際に前職の企業が発行した原本が必要になるためです。
年末調整に間に合わせるため、内定者が11~12月に入社する場合は早めに準備をしてもらう必要があります。
もし間に合わなかった場合は、内定者自身で確定申告を行ってもらう必要があります。
給与所得者異動届出書
「給与所得者異動届出書」は、住民税を控除する場合に必要な書類です。
前職から期間を空けずに転職する場合は、転職先でも継続して特別徴収とすることができます。
特別徴収とは、給与から住民税を控除することです。
継続の場合には、前の職場に継続の意思を伝え、給与所得者異動届出書を発行してもらう必要があります。
こちらは申告制になるため、希望しない場合は特別徴収ではなく普通徴収になり、手続きは不要です。
給与所得扶養控除等申告書の記載依頼
「給与所得扶養控除等申告書」は、給与から控除する厳選所得税額を決める際に必要になります。
扶養家族がいない場合でも、提出する必要があります。
給与振込先口座情報(給与振込同意書)
「給与振込同意書」は、毎月の給与を振り込むために必要な書類です。
自社で銀行名や口座番号・口座名義などの振込先情報を記載する用紙を用意し、内定者に記入と提出を依頼しましょう。
雇用保険被保険者証
「雇用保険被保険者証」は、雇用保険手続きの際に必要です。
番号を把握するために、雇用保険被保険者証を準備してもらう必要があります。
前職の雇用保険被保険者証はコピーで問題ありません。
中途採用 入社手続きの必須書類とそれ以外の書類
必要書類は企業によって異なります。
法令上必須である書類と、そうではない書類を把握しておくとスムーズです。
① 法令上必須な書類
・マイナンバー
・給与所得扶養控除等申告書
・雇用保険被保険者証
・給与振込先口座情報(給与振込同意書)※入社後でも可
② 必要に応じて用意してもらう書類
・前職の源泉徴収票
・給与所得者異動届出書
・健康保険被扶養者の届け出に必要な書類
③ 企業により提出が求められるもの
・健康診断書
・住民票記載事項証明書
・入社誓約書、入社承諾書
・身元保証書
・免許 など
中途採用の入社手続き★会社が準備しておくもの
内定者の入社前に、企業側はしっかり準備しておく必要があります。
新卒採用の場合はまとめて行いますが、中途採用は入社月がバラバラなため、『急に準備しなければならなくなった!』ということが無いようにしっかり準備しておきましょう!
これから会社が事前に準備するものについて紹介していきます。
企業側は、以下の準備をすると良いでしょう。
準備するもの
・雇用契約書
・採用通知書(内定通知書)
・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿
・メールアドレスの発行、アカウント作成
・制服、社用PCなどの備品準備
・入社初日の流れの打ち合わせ
雇用契約書
「雇用契約書」は、企業側と労働者側で労働契約の内容を明らかにするために必要な書類です。
必須ではないものの、文書として残しておくことが望ましいとされており、トラブル防止のためにも作成されることが一般的です。
雇用契約書に記載する内容は以下です。
・労働契約の期間
・就業場所
・従事する業務の内容
・始業時刻、終業時刻
・交代制のルール(労働者を2つ以上のグループに分ける場合)
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間、休日、休暇
・賃金の決定、計算、支払い方法、締切日、支払日
・退職や解雇に関する規定
似た書類に、「労働条件通知書」があります。
法律上作成の義務が無い雇用契約書に対し、労働条件通知書は作成義務・労働者に対する書面交付等の義務があり、記載する項目については、上記の項目は必須となります。
雇用契約書は労働条件通知書と兼ねることも可能です。
その際は、労働条件通知書に記載が必須の項目を、雇用契約書にも記載する必要があります。
採用通知書(内定通知書)
「採用通知書(内定通知書)」は、正式に採用が決定したことを企業が応募者に対して通知する書類です。
採用通知書(内定通知書)には以下の項目が基本的に記載されています。
・採用予定年月日
・勤務先
・部署、役職
・労働条件(給与・休日など)
・問い合わせ先 など
採用通知書(内定通知書)は法的義務があるわけではないので、送付は必須ではありません。
最終面接から1週間程で送付することが多いです。
一度内定を出した場合、『労働契約の承諾』という意味で契約としての拘束力を持つことになるので、内容に間違いがないように気を付けましょう。
労働者名簿・賃金台帳・出勤簿
労働基準法では、労働者を雇用した際に『労働者名簿』・『賃金台帳』・『出勤簿』の『法定三帳簿』を整えて保存する義務があります。
近年は労働者名簿など、オンラインで管理する企業も多くなってきています。
1つずつ法定三帳簿について説明していきます。
(1) 労働者名簿
労働者名簿は、労働者に関する情報をまとめたものです。
会社は、日雇いを除く労働者に、事業場ごとに労働者に関する項目を記載した労働者名簿を調製する義務と、退職や解雇、志望の場合労働者名簿を3年間保存する義務があります。(労働基準法第107条第1項、第109条、附則第143条第1項、労働基準法施行規則第53条、第56条第1号)
必要な項目は以下です。
・氏名
・生年月日
・履歴
・性別
・住所
・従事する業務の種類(常時使用する労働者が30人未満の場合を除く)
・雇い入れの年月日
・退職の年月日と理由(解雇の場合は解雇理由も記載)
・死亡年月日とその原因
(2) 賃金台帳
賃金台帳は労働者への賃金の支払いに関する事項を記載するものです。
事業場ごとに賃金台帳を調製した上で、賃金の支払いの項目を記入することと、最終記入日から3年間保存することが義務です。
(労働基準法第108条、第109条、附則第143条第1項、労働基準法施行規則第54条、56条第2号)
項目は以下です。
・労働者氏名
・性別
・賃金の計算期間
・労働日数
・労働時間数
・時間外労働時間数
・深夜労働時間数
・休日労働時間数
・基本給や手当等の種類と額
・控除項目と額
(3) 出勤簿
出勤簿は、労働者の出勤状況を記載したものです。
任意の書類ではあるものの、出勤簿やタイムカードといった労働時間の記録に関する書類を保存しなければならないと明記されています。
(構成労働省/労働時間の適性な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン にて)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf#page=4
記載項目は以下です。
・出勤簿やタイムカード等の記録
・使用者が自ら始業・終業時刻を記録した書類
・残業命令及びその報告書
・労働者が記録した労働時間報告書等
メールアドレスの発行・アカウント作成や制服・社用PCなどの備品準備
メールアドレスの発行やアカウントの作成は、入社後スムーズにできるよう、入社前に作成しておくことをおすすめします。
社員番号の発行や社内で使用するソフトに必要なIDやパスワードの設定など、予め準備しておきましょう。
また、入社後業務に必要なものも準備する必要があります。
準備するものの例は以下です。
準備するもの
・社用PC
・社用携帯
・入館証
・名刺
・名札
・ロッカー
・制服
・座席
・タイムカード
入社初日の流れの打ち合わせ
入社初日からスムーズに進められるように、スケジュールを決めておくことも大切です。
配属部署にスケジュールを共有し、当日の動きを確認してもらいましょう。
また、内定者にもスケジュールを伝えるようにします。
内定者に伝えておく内容
・当日の集合時間、場所
・持ち物(筆記用具・印鑑・依頼していた書類 など)
・当日の流れ
中途採用の入社手続き【入社後編】
入社前準備を終え、内定者の入社初日にスムーズに進められるための流れも抑えておきましょう。
その前に、「内定~入社までの流れ」について簡単に説明します。
中途採用★入社後の流れ★
- 依頼した書類の回収
- 就業規則・社内ルールについての共有
- 経費・交通費の登録
入社前までの準備を行ったら、予定しているスケジュールで進められるようにしていきます。
この章では、入社当日に行うことについて説明していきます。
依頼した書類の回収
入社前に用意してもらった書類を回収します。
回収の際には、内容に不備が無いかその場で確認し、不備があった場合は修正してもらいましょう。
受け取るだけでなく、回収物リストを作成しておくとスムーズです。
入社時に回収する書類の例は以下です。
入社後に回収するもの
・雇用保険被保険者証
・年金手帳
・住民票
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
・健康保険被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者資格取得届(該当する家族がいる場合)
・マイナンバー
・源泉徴収票(前職がある場合)
・雇用契約書、入社承諾書(署名・捺印済みのもの)
・給与振込先申請書、身元保証書(必要に応じて提出する)
・通勤手当支給申請書、住宅手当支給申請書
・健康診断書
・資格免許証、合格証明書類
・個人情報保護法に基づく誓約書
また、「通勤手当申請書」など入社後に書いてもらうパターンもあるので、どのパターンも漏れがないよう進めることが大切です。
就業規則・社内ルールについて
内定者へ、就業規則の格納場所を伝え、確認するように伝えましょう。
また、就業規則とは別に会社ならではのルールがある場合は、入社初日に伝えると親切です。
さらに一緒に働くメンバーの紹介なども行うことで、早めに会社に馴染むことができるでしょう。
もしくは、就業規則について一緒に確認する時間をとっても良いかもしれません。
経費・交通費の登録
経費や交通費の申請方法や通勤ルートの登録方法を説明しましょう。
新入社員が困らないように早めに伝えることが大切です。
中途採用の入社手続き★入社後早めに行うべきこと
この章では、入社後速やかに行う必要のある内容について紹介します。
社会保険(雇用開始〜5日以内に届出)
社会保険は、雇用開始から5日以内に提出する必要があります。
年金事務所または健康保険組合・厚生年金基金に「健康保険・厚生年金被保険者資格取得届」を提出します。
社会保険の加入対象は以下です。
【正社員の場合】
・70歳未満であること
【派遣社員・契約社員・パート・アルバイトの場合】
・1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が、派遣元も一般従業員の一般従業員の4分の3以上であること
・契約期間が2ヶ月以上になること(所定の期間を超えた場合はその日から被保険者となります)
※ただし、労働日数は4分の3以下でも、以下の条件をすべて満たしている場合は被保険者となります。
・1週間の所定労働時間が20時間以上ある(残業時間は除く)
・1年以上の雇用見込みがある
・月給が88,000円以上である(残業手当・通勤手当・ボーナス等は除く)
・学生ではない
・法人、個人、地方公共団体、国に属する特定適用事業所に勤務している
雇用保険(被保険者となった日の属する月の翌月 10 日までに届出)
雇用保険は、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに提出する必要があります。
雇用保険は、「31日以上の雇用が見込め、所定労働時間が週20時間以上」であれば加入対象になります。
手続きに必要なものは以下です。
・労働者名簿
・出勤簿(タイムカードなど)
・雇用契約書
といった、雇用を証明できるものを合終えて「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出しましょう。
住民税(なるべく早く)
住民税を給与からの天引きで支払う「特別徴収」にする場合には、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を住民税納付先にあたる市町村へ提出する必要があります。
新卒の場合など、前年の給与が無い場合は、翌年の6月から住民税を給与天引きすることになります。
雇用者が前職からすぐに退職しているという場合は、前職の勤務先で必要事項を記載した「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を送付してもらい、同届出書の記載項目にある「転勤(転職)等による特別徴収届出書」欄に記載した上で市区町村に提出することになります。
中途採用の入社手続き★+αで入社前のリマインドメールをするとさらに良い!感謝を伝え、信頼関係を築いておく
入社前に求職者へリマインドメールを行うことで、安心感を与えることができます。
必要な項目や情報を漏れなくメールに記載しましょう。
一般的には以下の内容が入っていると良いでしょう。
リマインドメールに入れておくと良い内容
・必要な書類の一覧
・提出方法や締め切り日
・問い合わせ先
テンプレートは以下になります。
是非ご活用ください。
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件名:【入社時に必要な書類について】
○○様
お世話になっております。
株式会社○○ 採用担当でございます。
入社に伴いご用意いただきたい書類を共有いたします。
こちらは入社日に持参いただく形で問題ございません。
ご確認をお願いいたします。
【書類】
・年金手帳のコピー
・住民票(マイナンバーの記載がないもの)
・雇用保険被保険者証
・添付の「扶養控除等申告書」
・添付の「身元保証書」
・病院、診療所等で過去3ヶ月以内に受信した健康診断書
※健康診断書の提出は任意とさせていただきます。
前職で3ヶ月以内に健康診断を受診されていた場合は、ご提出いただけますと幸いです。
以上、お手続きで不明なことがございましたら、担当までお気軽にご連絡ください。
また、期限内に書類が揃わない場合はご一報お願いいたします。
株式会社○○ 採用担当
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中途採用の入社手続き まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、中途採用における入社手続きについて解説しました。
入社手続きの準備段階から丁寧に行うことで、担当者自身も余裕を持つことができるだけでなく、内定者もスムーズに入社日を迎えられ、安心して始めることができます。
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