「エンジニアの採用がうまく行かない…」
「求人を出してもエンジニアの経験者応募が集まらない…」
エンジニアの採用で悩みを抱えている人事担当者の方も多いのではないでしょうか。
有効求人倍率が10倍を超えるともいわれる超売り手市場の中で、大企業だけでなく、中小企業やスタートアップ企業ではより優秀なエンジニアを採用することは決して簡単なことではありません。以前は人材紹介サービスの活用で採用出来ていた企業も今ではそう上手くはいかなくなっているようです。
そんな中でも採用に成功している企業は採用市場を理解し、ターゲットを明確にしたうえで自社の強みや魅力、企業文化を会社全体でアピールし、長期的にみてコーポレートブランド形成や採用ブランディング形成をすすめながら他社との差別化を図っている企業が多いです。
本記事では優秀なエンジニアを採用するためやっておきたいことをステップごとに解説します。
目次
- 1 ~ステップ1~求める人物像を現場のエンジニアと具体的に言語化する
- 2 ~ステップ2~エンジニア採用計画を明確に立てる
- 3 ~ステップ3~3C分析を行い、エンジニアへアピール出来る強みを考える
- 4 ~ステップ4~優秀なエンジニアに選んでもらえる求人広告・求人票・自社サイトで公開していく
- 5 ~ステップ5~優秀なエンジニアとの接点を出来るだけたくさん作る
- 6 ~ステップ6 ~優秀な人材を見抜き、エンジニアにも「入りたい」と思ってもらえる面接体制を整える
- 7 エンジニア採用に成功した企業事例
- 8 エンジニアの働き方が多様化しているという現実を事前に認識しておく
- 9 優秀なエンジニアが転職時に企業を評価する3つのポイント
- 10 それでもエンジニアの採用に苦戦している時に見直したい7つのポイント
- 11 まとめ
~ステップ1~求める人物像を現場のエンジニアと具体的に言語化する
超売り手市場の中で優秀なエンジニアを採用するためにやっておきたい事
まずは、現在エンジニアの協力を得て求める人物像を明確にしましょう。定めたターゲットが社内で相違があった場合、「求めていた人材と違った」など入社後のギャップが生まれる可能性がありますし、求人広告や人材紹介など採用戦略にも相違が生まれます。
ミスマッチを防ぐためにも、実際に働いているエンジニアの意見を聞きながら求める人物像を明確にしてください。
求める人物像の設定において、自社との親和性の高さや入社後の流れや受け入れ体制などを考慮しながら考えていく必要があります。まずはできるだけ細かく条件を書き出していくと良いです。
条件の一例をご紹介します。
【エンジニアに求めるスキル面】
・Perl、PHP、Hack、またはPythonの実務経験3年以上の方
・C.C++の実務経験3年以上の方
【エンジニアに求めるその他の条件】
・年齢は28歳以上40歳以下
・学歴不問
・プロジェクトリーダーの経験またはマネジメント経験がある方
・週5で正社員として活躍できる(リモート可)
・個々よりチームワークを大切にできる方
・下流工程より、上流工程でチャレンジしたい
・一都三県在住
上記の例のように、実際にエンジニアの人物像を想像しながら細かく理想の条件を書き出してみましょう。
また必須条件はどれか、妥協できる点はどこかなど優先順位を付けると良いです。
厳しい採用条件を定めてしまうと採用が難しくなってしまう可能性があります。現場エンジニアと十分に相談しながら求める人物像を設定してください。自社の教育体制や受入体制と比例してエンジニアの採用条件も変化しますので、考慮して決定してください。
教育体制・受入体制 | 求める人物像 | 考察 |
教育体制・受入体制【低い】 | 求める人物像【高い】 | 教育体制が低いと求める要件が高くなりやすい。 結果採用が難しい。 |
教育体制・受入体制【高い】 | 求める人物像【低い】 | 教育体制や受入体制が高いと求める要件が低くても大丈夫になる。 結果採用の幅が広がる。 |
複数の案件や職種がある場合には、複数の条件をまとめるのではなく、個別に必要条件書き出してそれぞれ採用ペルソナを設定してきましょう。採用条件が決まったら、採用難易度やターゲット人材が中途採用市場に何名いるのか、人材紹介やエージェントに依頼するべきなのか、スカウトで採用するべきか、など大枠の方向性が見えてきます。
→【テンプレート付】欲しい人材を確実に採るための採用ぺルソナ設定方法
~ステップ2~エンジニア採用計画を明確に立てる
超売り手市場の中で優秀なエンジニアを採用するためにやっておきたい事
採用・配置の計画を行う採用計画を立てることです。
採用計画を立てる際は中長期的(3か月~1年)計画を立てると良いです。
採用計画を立てる際に決めておきたい項目は以下のとおりです。
- 採用コスト、採用人数を決定する。
- エンジニアの採用期間を決定する。
- 採用手法の決定を行う。
採用人数、採用コストを決定する。
1つ目は、採用人数と採用コストを決定することです。
今後どの部署に、何人のエンジニア人材が必要になるのかを明確化しましょう。
状況は企業により異なりますが今回は人員数や時期、採用コスト予算の具体的把握の一例をご紹介します。
【一例】
・システム開発エンジニアの部署に欠員が出ているため、早急に2名の人員が欲しい。急ぎであるため、予算はかかっても良い。(採用コスト1名100万円×2名)
・案件増加に伴い、1年間600万円の予算でリーダー層としてプロジェクトを率いることができるインフラエンジニアを5名採用したい。(採用予算600万円÷5名=採用コスト1名120万円)
・1年間で、中途エンジニアを20名採用したい。案件は豊富にあるため、経験言語などは問わない。(採用コスト1名55万円×採用人数20名=採用予算1100万円)
このように企業の採用状況の現状を把握しましょう。現状を明確にすることで逆算して採用活動のスケジュールを組み、今後どのようにエンジニア採用を実行していくかを考えていくことができます。一人当たりの採用コストを把握しながら採用コストや採用予算を作成するとスムーズに決定できます。また、大手企業やブランド力のある企業の方が採用コストは抑えやすく、スタートアップや中小企業などブランド力のない企業の方が1名あたりの採用コストは高くなりやすいです。
職種別採用単価(ITエンジニア)※求人広告利用時
2019年:63.9万円
2020年:51.3万円
2021年:40.5万円
2022年:55.9万円
※職種ごとに、採用者1人あたりの求人広告費(転職サイト、折込求人紙、新聞の求人欄、フリーペーパーなど)
【ベース:2022年の求人広告に広告費をかけた職種がある。かつ、直近1年間の内定者のうち、実際に採用した数1人以上 ※不良回答を除いて集計】求人広告を利用した際の一人当たりの採用コスト(採用単価)になります。
参考:中途採用状況調査2023年版(2022年実績)(マイナビ)
採用単価(エンジニア)※業務量から算出する方法
【エンジニア採用人数を業務量の観点から算出する方法】
算出方法:必要人数=総労働時間/1人当たりの労働時間
採用単価(エンジニア)※財務、人件費から算出する方法
【エンジニア採用人数を財務の観点から算出する方法】
算出方法:必要人数=売上高-人件費以外の全経費-目標利益/1人当たりの人件費
現場で必要なエンジニア人数を算出する方法、会社全体で必要な人数を算出する方法があります。
企業の状況に応じて両方の活用が必要です。
例えば多くの企業と安定した取引を行っており、案件数も安定、売上も右肩あがりで成長している企業は業務の観点から採用人数を算出。反対に案件数が安定しておらず、正直今後の経営状況が厳しいという企業は先に財務の観点から採用人数を算出した後に、財務の観点で算出し調整を行う方法が効果的です。
採用時期を決定する。
2つ目は採用時期の決定です。採用時期の算出方法を簡単にご紹介しますので、自社の状況に合わせた算出方法を選択しましょう。いつまでにエンジニアを採用する必要があるかを決定します。
事業計画に基づいて採用時期を決定する。
事業計画に基づいてエンジニアの採用時期を決定していきます。採用時期から逆算して広告出稿時期や面接開始時期、人材紹介やエージェントに依頼する時期を決定していく方法です。
広告出稿状況や想定応募数から逆算して採用時期を決定する。
求人広告の掲載時期や応募数から入社率を逆算して、月々の採用人数の最大値と最小値を計算していく方法です。
エンジニア1名採用するのに、1か月での応募数が100名、面接が50名、入社が1名の場合、月間100応募集めることで1名の採用が実現します。この1か月で何名集めることができるか、から逆算してエンジニアの採用時期を決定していく方法です。
社内SEなのかSESなのかによっても採用時期や採用コスト、採用単価は異なりますので、自社にあった採用計画を心がけていきましょう。
採用手法の決定を行う。
3つ目は採用手法の決定です。採用手法の決定は、採用計画を立てる中で最も大切なフローとなります。
募集職種、ターゲット毎に合う、合わないがありますので自社に合う手法で募集方法を決定してください。
主な採用手法は下記のとおりです。
- 求人広告媒体への掲載(リクナビNEXT・マイナビ転職・type・doda、forkwellなど)
- 自社Webサイト内での募集(採用ホームページや採用LP、ATSなど)
- ダイレクトリクルーティング(dodaリクルーターズ・ビズリーチ、Offers、paiza、findy、レバテックなど)
- 運用型広告への有料掲載(indeed。求人ボックス、スタンバイなど)
- 人材紹介の活用
- 就職、転職イベントの活用(エンジニア特化フェアやオンラインフェアなど)
- ハローワークでの募集
- SNSの活用
- 採用動画の活用(SNSやYoutube広告など)
エンジニアの採用手法については、複数手法を活用するのもOKです。
採用コストなどをふまえ、手法を上手くかけ合わせて募集を行うのも良いでしょう。
男性向けか女性向けか、未経験よりで対象人数は多いか、経験者向けで少ないか、人材紹介が良いか、ダイレクトリクルーティングが良いか、エンジニア特化型の求人が良いかなど採用ターゲットや中途採用市場の動きで変わります。
採用手法、採用計画についてのポイントをより具体的に知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
→【採用計画の立て方を徹底解説】
エンジニア採用でよく利用される求人広告2選
エンジニア採用でよく利用されている求人広告を2つご紹介します。
リクナビNEXT
リクナビNEXTはリクルートが運営する求人媒体です。会員数も1000万人以上おり、日本を代表する求人媒体となっております。掲載をして待つだけでなく、求人告知メールも活用してターゲットへ求人情報をお届けして、その後、一度閲覧した方に無料で利用できる、こだわりアプローチの機能を活用して応募を集める手法が最近の主流の流れになります。
未経験者向けの場合は企画サイズが大きい企画(N5、N4、N3)を利用して閲覧数を確保。
経験者向けの場合は、企画サイズが小さい企画(N3、N2、N1)を利用と求人告知メールを併用して、ターゲット層(経験者)に向けて訴求していく方法がおすすめです。
転職サイトtype
typeは他の求人媒体に比べて、エンジニアの経験者の比率が高く、type会員の5人に1人がエンジニア経験者になります。ワンプライスで2職種まで原稿掲載が可能なので、未経験者向け、経験者向け、応募条件、採用条件違い、職種違いで原稿を作成して求職者にアピールすること可能です。エンジニア転職フェアも開催しており、エンジニアの採用集客には定評があります。常時1000件以上エンジニア求人を掲載しています。求人の約半数がITエンジニアの求人!10年以上、ITエンジニアに特化してきたからこそ人気企業のエンジニア求人が集まってきています。
~ステップ3~3C分析を行い、エンジニアへアピール出来る強みを考える
超売り手市場の中で優秀なエンジニアを採用するためにやっておきたい事
エンジニアの採用活動を行う上で、自社の分析は必須です。いかに自社のニーズや企業理念にあったエンジニア人材を獲得できるかといった戦略を考えなければなりません。
そのうえで、
5-1.市場・顧客(Customer)
5-2.競合(Competitor)
5-3.自社(Company)
の3つを可視化しましょう。
他社とは異なる自社の強みを把握して、エンジニア候補者へ認知してもらい魅力に感じてもらえるかどうかが採用へ繋げる鍵になります。
市場・顧客のニーズや成長性を整理することで競合他社との差別化すべきポイントが変わります。
また、競合他社の強み・弱みや戦略を整理することで自社の強み・弱みのエンジニアへの打ち出し方も変わってくるはずです。そして自社の強み・弱みを今一度整理することで採用市場にいける自社の立ち位置と競合優位性を明確化することができます。
市場・顧客(Customer)分析で確認しておきたい項目例
獲得競争が激しいIT業界、エンジニア採用において市況を知ることはとても重要です。なかでも以下のような点についてはしっかり把握しましょう。
- 現在の採用市場のエンジニア求職者数はどれくらいなのか
- 求職者のエンジニアが企業を選ぶうえで重要視している基準はなにか
- エンジニアの転職、離職の理由はどのようなものが多いのか
- エンジニアが転職を検討するタイミングはどういった時期が多いのか
競合(Competitor)分析で確認しておきたい項目例
エンジニアの採用活動において競合他社が市場の変化にどのように対応しているのかを知ることが重要です。
そのためにどこが競合にあたるのか、他社がどんな強みを持っているのか、また求職者に対してどのような魅力を提示しているかを把握しましょう。
- エンジニア採用市場で競合にあたる企業はどこか
- 競合他社のエンジニア採用活動の手法はどのようなものを活用しているのか
- エンジニア採用ポジションや給与などの条件、待遇はどうか
- 自社の強みをどのような形でエンジニアに訴求しているのか
自社(Company)分析で確認しておきたい項目例
自社の現状や強み・弱み、ビジョン、資本力などを明確し、「市場・顧客」「競合」の分析を踏まえて自社がどのような手を打つことでエンジニア採用に成功できるのか要因を見つけましょう。
- 候補者(エンジニア)から見た自社の強み・弱みはなにか
- 自社の商品やサービスの強みはなにか(エンジニアや消費者に対して)
- エンジニアの給与・賞与などの待遇や福利厚生はどのようなものか
- エンジニアの仕事の面白み・やりがいはなにか
~ステップ4~優秀なエンジニアに選んでもらえる求人広告・求人票・自社サイトで公開していく
超売り手市場の中で優秀なエンジニアを採用するためにやっておきたい事
転職を考えているエンジニアは自身が持っているスキルと、企業が求めるスキルがマッチしているかをチェックしています。数ある企業の中から選んでもらうためには、エンジニアに自社の魅力や募集条件だけでなく、後々ミスマッチが生じないように事前に担当する業務内容を詳細に記載する必要があります。前章(5章)で記載した3C分析の結果も踏まえたうえで、求人広告や求人票を作成する際には以下のような点について詳細に記述するように心がけましょう。
エンジニアにアピールできる自社の魅力をしっかりと記載する
自社の魅力や強みになるポイントは積極的にエンジニアに提示しましょう。求人サイトや求人広告だけでなく、自社の採用ホームページや自社サイト、SNS、noteなど複数の媒体や広告を活用して、企業の社風や福利厚生のほか、エンジニア向けに発信したい働き方や社風、実績などアピールできる情報を含めることが重要です。
- 最新技術やシステムの導入に積極的か、エンジニアに魅力的か
- エンジニアのスキル向上のための教育、研修体制は整っているか
- エンジニアは社内でどのように連携して開発を進めていくのか
- エンジニア評価制度や評価方法が明確化されており正当な評価がされているか
- 勤務時間や形態、オフィス環境、リモートの可否などエンジニアの仕事の環境は整備されているか など
企業カルチャーや社風、制度、仕事の環境については求職者目線でわかるように会社と事業のビジョンをまとめ、今後の展望などについてもできるだけ細かく記載しましょう。特に自社サイトや企業ページ、noteなどは文字数の制限もなく、多くの情報を発信することができますので、積極的に活用していきましょう。活躍している社員(男性、女性、新卒、中途)問わずや、社内イベントの様子など条件面以外の訴求も大切です。
開発環境を具体的に記載する
開発環境についても具体的に記載しましょう。特に経験が豊富なエンジニアは、自分がどんな業務を担当できるのか、どの程度の裁量を持って開発に関われるのか、環境が整備されているかなど、より詳細な情報を求めています。社内での開発なのか、客先常駐なのかはもちろん、開発するサービスがBtoCなのかBtoBなのかも記載しましょう。客先常駐の場合、自宅からのアクセスを気にするエンジニアに向けて最寄り駅や常駐する可能性があるエリアを記載しましょう。
・開発規模や期間はどの程度なのか
・開発分野、使用言語はなにか
・担当するフェーズはどこなのか
・使用するツールはなにか
・品質向上のための取り組みはあるのか など
プロジェクトについて記載する場合、働くイメージを持てるようプロジェクトのどの部分を担うのか、そのプロジェクトは長期なのか、短期なのかをできればはっきりと記載しましょう。
エンジニアは次の環境で自身が保有しているスキルパフォーマンスを最大限発揮することができるか気にしています。だからこそ今自分が持っているスキルを活かすことができるかどうか確認できる情報を提示することは非常に重要です。これらの内容が盛り込まれているかしっかりとチェックしましょう。
~ステップ5~優秀なエンジニアとの接点を出来るだけたくさん作る
超売り手市場の中で優秀なエンジニアを採用するためにやっておきたい事
戦略を立てられたら、次にできるだけ多くのエンジニアと接点を持ち母集団を形成していく必要があります。
競争が激化するエンジニア採用市場において、複数のチャネルでエンジニアとの接点を作ることが重要になっています。そこで本章では採用手法も多様化する中でどうすればエンジニアと接点を持てるか記載します。
採用サイトや求人広告に出稿をして接点を作る
採用サイトや求人広告への求人掲載は最も一般的な接点の作り方といえます。中には無料で採用ページを作成できるサービスもあるため比較的始めやすい採用手法の一つです。
求めるエンジニアのスキルレベルや募集するエリアなどによっても変わってきますが基本的に長期的、かつ複数の媒体を組み合わせて広く掲載していくことで接点を持てる可能性は上がります。最近ではターゲットを日本人のみならず、日本に在住する外国人も視野にいれて専門媒体を活用し掲載することで採用の充足を図る企業もあります。
【メリット】
・無料で掲載できるサービスもあり始めやすい
・幅広い層に対して自社の求人情報をアピールできる
【デメリット】
・掲載企業が多いため、自社の求人が埋もれてしまう可能性がある
・応募者や登録者の質が低い場合がある
求人広告の掲載にあたっては、自社に合ったメディア選定やターゲット設定だけでなく掲載開始後の運用や応募者へのスピーディな対応が重要です。
ダイレクトリクルーティングを活用する
ダイレクトリクルーティングは、企業が自社にマッチしている求職者に直接スカウトを送ることで母集団形成をする採用手法です。エンジニアの有効求人倍率が上がっている中、ただ掲載しているだけでは求める人材からの応募を集めるのは難しいですが、ダイレクトリクルーティングであれば自社が採用したいと思う人材とだけアプローチし接点を持つことが可能です。魅力的な条件を提示しつつ、熱意を持ってスカウトを送付すれば、1on1のコミュニケーションを通じて交渉が成立するケースもあります。
【メリット】
・求める条件に当てはまる人材にピンポイントで訴求できる
・優秀な人材や転職潜在層の人材を狙って訴求できる
【デメリット】
・スカウトメールの文面作成から配信まですべて社内で行う必要
があるため手間と時間がかかる
・求める人材が少ない場合や見つからない場合がある
ダイレクトリクルーティングであれば、自社とのマッチング度が高い人材に対して直接アプローチし接点を持つことが可能です。自社の魅力や個々に合わせた条件提示が出来るため、求めている人材に巡り合えなかった企業に適している採用手法です。また、人材紹介に比べて採用コストを抑えることも可能です。
リファラル(社員の友人や知人などからの紹介)を活用する
ビジネス志向が強いエンジニアはリファラルから転職先を探している傾向があります。
リファラル採用を使うことで、転職潜在層にうまくアプローチすることができます。また、実際に勤務している社員を介するため、開発環境や企業カルチャーを伝えやすく、会食などからマッチングが成立する可能性があります。後々ミスマッチや選考辞退を防ぎやすい採用手法です
【メリット】
・社員からの紹介のため費用を抑えられる
・採用のミスマッチが生じにくい
【デメリット】
・社員や関係者の協力が必要不可欠
・採用までに時間がかかるケースが多い
リファラル採用を最大限活用するためには、社内で紹介制度などを設け、報奨金やインセンティブ付与など紹介する側へのメリットを用意することで紹介数を増やせることがあります。一方で周知方法、紹介者へのフィードバック伝達方法などには注意しましょう。
人材紹介(エージェント)を活用する
エンジニアを探す目的でエージェントを選ぶ際は、IT業界に特化しているサービスを選ぶことをお勧めします。専門的な技術をもつエンジニアを見つけやすい方法であるため、人材紹介を活用することで自社ではアプローチできない人材にも出会える可能性があります。
【メリット】
・人材紹介会社を介して条件に合う人材だけを紹介してもらえるため業務負担を減らすことができる
・専門性やネットワークを活用できる
【デメリット】
・他のチャネルに比べて採用コストが高い
・エージェントとの情報共有や連携が不十分な場合がある
エージェントを活用する際には、自社に合った紹介会社の選択や契約内容、情報共有や連携方法などに注意することが重要です。
ソーシャルリクルーティング(SNS)を活用する
SNSを活用した情報発信は採用ブランディングの一環としても効果的です。
InstagramやX(旧Twitter)やFacebookなどのSNSを活用して自社の情報を発信することで求人票では見えない部分をアピールできるため、社内の写真や動画などを載せることで、会社の雰囲気や魅力を伝えることができます。また、候補者と直接コミュニケーションをとることもできるため、候補者の人柄を事前に確認でき、採用のミスマッチを避けられます。
【メリット】
・業務で使用している技術情報を紹介することで、求職者のスキルとマッチしやすくなる
・無料で利用できるものが多いため、初期費用がかからない
【デメリット】
・SNSの運用に時間や人員がかかる
・効果に繋げるためには情報を発信し続ける必要がある
発信内容はターゲットに合わせて関心を持ってもらえるような内容へカスタマイズし、具体的かつオリジナルな内容にすることが大切です。また自社の魅力や情報だけでなく、業界やキャリアに関する有益な情報を発信することでコメントやいいね、メッセージなどのリアクションから接点を持つことができる場合があります。
エンジニア採用を成功させるためには、自社に合いそうな志向性を持つ人が好むチャネルをとくに強化しつつ、自社の求めるエンジニア人材を採用できる機会を逃さないために自社の採用目標や状況に合わせてできるだけ幅広いチャネルを併用して採用活動を行っていくことが重要です。女性エンジニアの割合は20%程度で女性の活躍も増えています。男性、女性問わず、企業のイメージを訴求しやすいので、積極的に利用していくと良いです。
~ステップ6 ~優秀な人材を見抜き、エンジニアにも「入りたい」と思ってもらえる面接体制を整える
超売り手市場の中で優秀なエンジニアを採用するためにやっておきたい事
人手不足で売り手市場が続いているIT業界でエンジニアの面接を成功させるためには面接体制の整備と臨むための準備と姿勢が大切です。エンジニアの採用だけに限ったことではありませんが、応募者が自社の求める人材かどうかを見極めるためには、ミスマッチを防ぐためにも応募者に本音を語ってもらう必要があります。そのためには、面接を企業がチェックする場ではなく、「お互いを知り合う場」として臨む姿勢が必要です。
今は企業側が一方的に応募者を選べる立場ではありません。むしろ優秀な人材に自社を魅力に感じてもらい選んでもらう立場であると言っても過言ではありません。
この姿勢がなければ、まず優秀なエンジニアを採用することはできないでしょう。優秀な人材ほど企業からのオファーなども多いため、数ある企業の中でも次の選考に進みたい、もっと話を聞いてみたい、入社したいと思ってもらえるような面接体制を構築しましょう。
1〜2次面接は必ず現場のエンジニアに入ってもらう
エンジニア採用を成功させるために重要なことの1つとして現場のエンジニアを巻き込んで採用を行うことが挙げられます。エンジニアのスキルは、同じ立場のエンジニアが一番よく理解できます。
経験者(特に即戦力として期待できるようなハイスキル人材)を狙うのであれば、面接には必ず現場のエンジニアに入ってもらいましょう。エンジニアは専門性の高い職種であり、多くのエンジニアは技術に理解のない会社を避ける傾向にあるため、エンジニアの細かい職務内容や技術に関する知見がない状態で面接してしまうと、その時点で候補から外されてしまいます。
事前に選考に関わる人員を、社内の現場エンジニアからも選んでおき、会社全体でエンジニア採用を行う意識をもって、面接には現場エンジニアに同席してもらいましょう。
コーディングテストを導入して効率化を図る
エンジニアの採用において、今の時点においてのスキルをチェックすることは必須です。
限られた面接時間の中で優秀なエンジニアを見極めるためには、コーディングテストを活用しましょう。
コーディングテストとはエンジニア採用においてエンジニアのプログラミングスキルや知識量を図るテストです。面接の前に実施することで、面接時にコーディングテストの結果を踏まえて「どうしてこのコードを書いたのか」「なぜこの言語を使ったのか」といった候補者の考えを探る、具体的な質問を投げかけることができるため、より質の高い面接を実施することが可能になります。
また、自社のニーズに合致したスキルや実績を持っているか判断ができるだけでなく、採用に携わる人事担当者や現場エンジニアの負担軽減や選考フローの改善にも役立ちます。最近では外部のコーディングテストサービスを導入する企業も増えており、外部サービスやツールを利用することで事前にスクリーニングをかけることができたり、技術力を量るための質問や問題を用意する手間がなくなることも、工数の削減に繋がります。
導入する際には、自社で問題を作成し採点する方法や、外部のサービスを利用する方法もありますが、コーディングテストで測る能力と入社後に期待する能力とのギャップが生じないよう注意し、実際の業務との関連性が低い汎用的なテストにならないようにしましょう。
優秀なエンジニアかを判断するための適切な質問をする
3つ目は、優秀なエンジニアを見極めるための質問することです。エンジニアの仕事は専門性が高いため、応募時の書類だけでスキルを見極め判断することは非常に難しいです。そのため面接では短い時間内で、履歴書・職務経歴書では分からない求職者の魅力や強みを引き出し、自社が求めている要件に合っているかどうか、そして活躍できる人材かを判断しなければいけません。
面接にて聞いておきたい質問や深掘りをする際の質問例を下記にまとめておりますので、ぜひ面接時の参考にしてください。
8-3-1 これまでに開発したサービスを教えてください。
8-3-2 使用経験のある言語やサーバーを教えてください。
8-3-3今後身に付けたいスキル・知識はありますか。
8-3-4経験あるポジションで最も責任範囲が広かったものを教えてください。
8-3-5これまでに直面した課題と、どのように解決をしてきたかを教えてください。
これまでに開発したサービスを教えてください。
まずはどのような業務経験を積んできたのかの確認を行いましょう。「なぜ、そのスキルを習得したのか?」
「保持するスキルを使い、作ったものは何か?」「保持するスキルによって、どのような結果が得られたか?」
などサービス開発に関するエピソードを聞くことで、自社で行っている事業との親和性などを確認することができます。さらに、サービス概要を上手く説明できるかどうかという観点で、コミュニケーション力やサービスへの理解度も確認することが可能です。
回答に対し、「そこで果たしていたあなたの役割は何ですか?」、「プロジェクトに携わった人数や予算を教えてください。」など深堀りする質問を投げかけることで、より求職者の強みや志向性を認識することができます。具体的な数字を出してもらうことで、規模感を確認しましょう。
使用経験のある言語やサーバーを教えてください。
使用言語・ツール・サーバー構成に関する確認も面接において重要な質問です。エンジニア経験があるといっても1人ひとり所有している技術スタックは異なります。技術を把握することで自社の採用要件にマッチしているかを判断してください。
自社の案件で活用するツール経験がある場合や、再現性ある技術を用いている場合は即戦力となる優秀なエンジニアとしてご活躍いただけるでしょう。深掘りする場合は、「何故その言語やツールを選択したのですか?」などの質問が効果的です。求職者の知識面を確認することにも繋がります。
今後身に付けたいスキル・知識はありますか。
今後どのように成長していきたいか確認するのも、優秀なエンジニアを見極めるために必要な質問です。エンジニアの仕事は常に情報が更新されるため、知識をアップデートすることが求められます。ご自身のキャリアプランを描けているか、成長性や将来性のある人材かどうかを判断しましょう。
「そのスキルを身に付け、どのような場面で活かしたいですか?」などの質問を投げかけることでどのように成長していきたいのか、そして自社について理解できているかどうかも判断することができます。
経験あるポジションで最も責任範囲が広かったものを教えてください。
経験しているプロジェクトの中で、最も責任の大きいものをヒアリングすることで任せられる業務の範囲を確認することができます。プロジェクトの進め方は内容や状況によっても大きく異なります。どのようなメンバーでどのように業務に取り組んできたかを質問することで、今後入社をした際にどのようにプロジェクトに貢献していくかをイメージすることができます。
これまでに直面した課題と、どのように解決をしてきたかを教えてください。
課題解決能力の確認し、優秀なエンジニアを見極めましょう。課題をどのように捉えているのか、そして課題を解決まで正確に実行できる人材は貴重です。経験値を確認するためにも質問すると良いです。
「そこから学んだことがあれば教えてください。」などその経験からの学びをヒアリングすることで求職者の学習能力を測ることができます。課題をしっかり分析し、言語化するということは今後仕事をしていく上でエンジニアにとって必要不可欠な要素です。
エンジニア採用に成功した企業事例
事例1.新しい採用手法の導入で想定より5倍以上の応募数を獲得できターゲットに合った人材を獲得
事業内容:WEB・システム事業/国内WEB、システム開発・運用/プロモーション事業
募集職種:開発エンジニア
【採用課題】
これまでの採用はリファラルでの入社が多く、開発エンジニア募集に注力してこなかったため自社に合う採用手法が分からない。会社として新しい事業も展開していくため、即戦力ある優秀なエンジニアを増員募集したい。
【対策】
・自社に合う求人広告媒体の選定を実施
・転職フェアへのイベント出展
・現場のエンジニアを巻き込んでの採用活動を実施
求人広告代理店へサポートを依頼を依頼し、優秀なエンジニアが多く登録している求人メディアへの掲載を決定。求人メディアへの掲載においては、開発環境や案件に関する内容をできるだけ具体的に記載。検索されやすいキーワードを盛り込みアクセスを集めやすい内容とした。
さらに転職フェアに出展し、直接エンジニアと企業文化や組織作りについて話せる場を設けた。転職フェアや選考時の面接では、現場エンジニアの協力を得て、求職者の細かい職務経験や技術に関する知見を確認し優秀なエンジニアを見極められるようにした。
【結果】
求人広告への掲載や、転職フェアへの出展など求職者との接点を多く作ることで自社の魅力をアピールすることができた。また、現場エンジニアが選考に入ることで求職者と企業側でプロジェクトや開発環境など、細かく確認することができ互いの認識の相違なく選考活動を進めることができた。
実際に想定より5倍以上の応募数を集めることができるようになり、経験者採用にも繋がった。
事例2.他社との差別化で求職者に自社をアピールし、ターゲットとしていた若手のエンジニア経験者の採用に成功
事業内容:インターネットサーバー/システムの構築・運営/ソフトウェア開発
募集職種:開発エンジニア
【採用課題】
即戦力となる若手の人材が欲しいが費用面で人材紹介は利用できない。案件増加に伴い、開発エンジニア(経験者)を2名採用したい。これまで募集をかけるも入ってくる応募者は年齢層が高くターゲットとしている若手の応募が少なく、内定を出しても辞退されてしまいなかなか採用まで至らない。
【対策】
企業SNSのアカウントを作成し、求職者向けに日々情報を発信し自社の魅力や自社独自の制度、現場エンジニアのインタビュー等情報を発信。また、募集団を形成する上でペルソナをこれまで以上により細分化しターゲットを明確にしたうえで研修制度や勉強会などの制度が充実していることや、キャリアアップを応援するという強みを打ち出し、今よりもさらにスキルアップしたいという方に刺さるような原稿を作成し掲載した。
【結果】
目標としていた2名の採用に成功。これまでよりもターゲットとしていた若手層からの応募も増え、有効応募数も過去掲載時と比較し2倍に増加したことで伴って面接数も増加。SNSの効果もあり、自社の魅力付けができたことで内定の承諾までつなげることができた。
エンジニアの働き方が多様化しているという現実を事前に認識しておく
人手不足が騒がれる中で、エンジニアの採用においては特に採用難易度が上がっています。(採用が難しい)
その要因の一つにエンジニアの働き方が多様化していることが挙げられます。テレワークや時短勤務、フレックスタイム制度など、近年の働き方改革の推進に伴い、働き方が多様化し価値観が変わっている中で、近年個人で仕事を請け負えるプラットフォームが増えてきています。そのため、正社員ではなくフリーランスとしての働き方を選択する自ら顧客と取引するエンジニアが増えています。
一定スキルや経験があるエンジニアは、働く時間や日数を自ら調整しやすいフリーランスに転向し活躍している人材がいることも理解しておきましょう。
また、副業を可とする企業も増えており、ハイスキルのエンジニアであれば、企業に勤めながらも副業として別企業の業務を請け負って収入を得ているエンジニアも多くいます。転職せずとも多様な働き方によって自身の実現したキャリアを実現できることもあり、転職市場になかなかエンジニア求職者が現れず、募集をかけても即戦力となるエンジニアを採用できないといった悩みを抱える企業が増えています。エンジニア採用においては採用計画を立てる上でもまずこの点をしっかり認識しておきましょう。
優秀なエンジニアが転職時に企業を評価する3つのポイント
エンジニア職の採用は数ある職種の中でも超売り手市場であるため、採用に成功している勝つ企業群と苦戦して負ける企業群とで二極化が進んでいます。優秀な人材ほど高待遇で採用される傾向にありますが、エンジニアが転職する際に企業の見ているポイントは決して条件面だけとは限りません。ここではエンジニアが企業選定の際にどういった点に着目しているか解説します。
どのような企業文化でどのような組織づくりをしているのか
優秀なエンジニアは、どういった企業文化がありどのような組織作りをしているかといった点を見ているようです。
エンジニアは何をやるかよりもどういった中でやるのかを気にしているケースが多いです。
組織の作り方にはその会社のあり方やビジョンが反映されているはずなので、積極的にアピールしていきましょう。特に求職者が会社を魅力的に思うポイントは以下の4つの「P」と言われています。
① Philosophy(企業理念)
ミッション/ビジョン、創業経緯、社名の由来、沿革
② People(人・文化)
経営陣紹介、メンバー紹介、企業カルチャー、バリュー、組織図
③ Profession(事業・業務内容)
事業内容、ビジネスモデル、競争優位性、今後の事業戦略、業務内容
④ Privilege(働き方・待遇)
働く環境、働き方、福利厚生、オンボーディング、給与テーブル、評価制度
企業に勤める以上、人生の大半は会社に属することになります。そのうえで企業バリュ-や企業カルチャーを理解してもらうことは非常に重要です。「ミッション」や「バリュー」として従業員の行動指針を策定し、従業員の行動にも一貫性を持たせましょう。
エンジニア目線では、”何をやっているか”より”どのようななかでやっているか”の方が気になります。「この企業に入社するとどんなことができるのか」「どのような環境で働けるのか」「どのようなスキル、技術を持った人がいるのか」「どのような案件があるのか」「どのようなキャリアを描けるか」など他社との差別化を図るためにも自社の魅力を詳細に発信しましょう。
技術を正当に評価してもらえるかどうか
エンジニアが転職を考えるきっかけとして多いのが、「仕事上の評価が正当でないと感じるから」です。
最近では、どういった評価項目を設けているのか、技術力をどのような定義で評価しているのかなど評価制度を公開していている企業もあります。特に優秀なエンジニアは生産性や成果主義志向でもあるため自身の持っているスキルをちゃんと評価してもらえるかどうかは企業を決める際に重要なポイントになっていると言えます。
個人の勤務態度や成果、業績を評価だけではなく、スキルやノウハウをどのように評価しているのかオープンにすることで転職を考えているエンジニアにとっては企業を選びをする上でも安心できる一つの判断材料になります。
適正な評価を与えることで、エンジニアのモチベーションが向上し、組織全体の生産性もが高まることも期待できます。まずはきちんと評価制度が整っているか確認し、改善すべきところがあれば早急に見直しましょう。
柔軟な働き方ができる環境が整っているか
フレックスタイム制の導入や、リモートワーク、完全在宅勤務、副業など働き方が多様化したこともあり、柔軟な働き方ができる職場かどうかは企業選定の際に見られるポイントの一つです。
優秀なエンジニアほど合理性と効率を重視する傾向にあるため、古い規則にとらわれて時代に合わせた働き方の改善ができない企業は生産性よりも非合理的な慣習を優先する企業というマイナスな印象を持たれてしまいます。
柔軟な働き方ができる職場かどうかは、エンジニアにとって非常に重要なポイントになってくるので、今一度エンジニア目線で働きやすい環境が整っているかどうか確認し、募集の際にはしっかりアピールしていきましょう。
それでもエンジニアの採用に苦戦している時に見直したい7つのポイント
採用が上手くいかない理由は、自社の採用活動が適切でない可能性もあります。複数のチャネルを用いて募集をかけているのに応募が集まらないなど苦戦している場合に見直してほしいポイントを紹介します。
採用条件を緩和し、ターゲットを拡大する
どの企業も即戦力になる優秀なエンジニアを求めていますが、実績もスキルもありコミュニケーション能力も高く何一つ申し分ない人材は相応の待遇、環境の中で働いているためなかなか転職市場には現れません。求めるレベル設定を高くすればするほど採用条件を満たす対象者は少なくなりますし、求職者側も求人を見た際に募集要件に不安を感じ応募を躊躇し応募の敬遠に繋がりやすくなってしまいます。そのため採用目標人数が多く、雇用条件が他社と比較して同等もしくは少し低い場合は、採用条件を緩和する必要があります。新卒や未経験者、微経験者(経験の浅い方)、ブランクのある方などです。
まずは求める人物像を明確にしたうえで、自社の求める必須の条件(MAST)と、折り合いの付けられる歓迎・優遇の条件(WANT)を分けることでターゲットを拡大し、応募時点ではできるだけ間口を広げ母集団を形成することがおすすめです。自社求人の採用条件の中で、ターゲットとなる人材の年齢層、学歴、PCスキル、保有資格、エンジニア業務の経験年数、使用言語など緩和できる箇所がないか今一度確認してみましょう。
採用ブランディングを強化しチャネルを拡大する
多くの候補者を獲得するために採用ブランディングの重要性はより高まっています。優秀なエンジニアと接点を持つためには、エンジニアが企業を探すうえで、見ている場所で情報を発信することで機会損失をしないようにすることがポイントです。大手総合型の求人広告媒体以外にもエンジニアに情報を届ける経路として、様々な採用ブランディングの手段が取られています。中途採用のターゲット層に合わせ、適切な採用手法を複数取り入れることで接点を持つきっかけを増やしましょう。例えば以下のような方法がありますので参考にしてみてください。
IT系専門求人サイトへ求人掲載
SNSに表示するフィード広告
企業SNSやブログでの情報発信
メールマガジンでのプロモーション
交流会や勉強会などのイベント開催
企業HPの拡充(採用ページ、採用LP等)
例に挙げた手段を取り入れるだけでなく、継続的にエンジニアが興味を持つ自社の魅力を発信し続けることが必要です。競合企業との差別化を図るうえでも企業カルチャーや組織のミッション、現場エンジニアの環境など自社独自の魅力を訴求しましょう。
人事担当者のエンジニアに関する知識を増やす
エンジニアとの面接において、人事担当者のITリテラシーを高めておくことも大切です。そもそもエンジニアの職種は分類としては20~30種類以上に細分化されています。エンジニアの専門知識や実務経験がない人事担当者がエンジニアの実力を正しく把握することは難しく、知識・経験が不足していることによって面接で抽象的な話ばかりで具体的な話ができないと求職者側も不安になってしまいます。現場のエンジニアへ協力してもらい面接に同席してもらうことも手ではありますが、現場のエンジニアにとっても日々の業務がある中で都度時間を取られてしまっては負担は大きくなります。人事担当者自身が募集する職種の業務内容や職務範囲を明確に伝えられるようにするためにもエンジニアに関する知識を増やしましょう。
応募から内定までフローを簡略化し選考スピードを上げる
選考においては、スピード感が何より重要になります。約90%の企業が応募から1ヶ月以内で内定を出すといわれており、選考に1ヶ月以上かかっている企業は早急に選考フローの改善が必要です。今一度自社の選考フローの中でステップごとに改善、簡略化できるところはないか確認してみてください。
【書類選考】
書類選考は理想は1営業日以内、どんなに遅くとも3営業日以内に行いましょう。面接案内をするまでに期間が空いてしまうと、求職者から辞退されてしまう可能性も高まります。多くの求職者は、複数の企業に応募し同時に選考を進めており、優秀な人材ほど企業側からのスカウトやエージェントの紹介を多く受けています。そのため時間がかかるほどその間にほかの企業で選考が進んだり内定を受け取ってしまい、他社に流れてしまいかねません。
【面接調整】
面接の日程調整についても、面接日が遠くなるほど、その間に別の企業に候補者が流れてしまう可能性が高くなるためできる限り企業側が調整をして最短日で候補者との面接できるよう心がけましょう。中には「HubSpot」「Timerex」「アイテマス」といった日程調整ツールを活用する企業もあり、企業側だけでなく応募者側もメッセージのやり取りで余計なラリーをしなくて済むため両者にとって負担を軽減でき簡略化しているところもあります。
【面接】
面接回数が3回以上あったり選考期間が長い場合には、再度面接時の内容を見直してみましょう。
8章で記載した通りスキルの確認などは面接前にコーディングテストを導入することで短縮することもできるため面接時には要点を絞って確認し、その他の時間は動機付けに使うなど効率化をはかれる場合があります。
【内定後】
内定通知後から承諾までの間は内定者のフォローが非常に重要となります。ここは簡略化せずにできるだけ細めに接点をもっておくことが大切です。不安に思っていることを聞いたり、面接の場で聞けなかった話などを聞けるように現場エンジニアとの交流会などを設けることもおすすめです。内定者が入社するまでに十分なフォローを実施することで内定者へ「本当にあなたに入社してほしい」という熱意も伝わります。
多様な働き方ができる環境を用意する
昨今の社会情勢に伴い新しい働き方を導入する企業が増えています。エンジニアが自身の力を最大限発揮できるような環境を整えることも重要です。エンジニアが多く活躍している企業で取り入れられている多様な働き方の例をいくつか紹介します。
【リモートワーク】
自宅や、自分の好きな場所で勤務することができるリモートワーク。IT業界やエンジニア職は、PCとインターネット環境が整っていれば対応できる業務もあるため、比較的リモートワークを導入しやすい傾向にあります。
リモートワークを導入することで通勤にかかる時間を短縮でき、空いた時間をスキルアップのための勉強や息抜きに使うことができる点や、自分に合った場所で業務に取り組むことができ、作業効率化に繋がるというメリットがあります。
【フレックスタイム制】
出社時間や退勤時間を自由に選ぶことができるフレックスタイム制。総労働時間を満たしていれば、1日の間で自由に時間を調整して働くことが可能です。
エンジニアは案件、職種によりますが個人で作業を進めることも多いため個人の業務スケジュールが立てやすい傾向にあります。
フレックスタイム制を導入するとプロジェクトで業務が立て込んだときや、仕事量が少し落ち着いたときなどフレキシブルにスケジュールを組むことができるのでエンジニアにとっては魅力的な制度であるといえるでしょう。
通勤時間を遅くして通勤ラッシュを回避できる、反対に退勤時間を早めて午後の時間をプライベートの時間に充てることができるなどもメリットがあります。
【副業制度】
エンジニアが本業以外の仕事で収入を得ることを定めた副業制度。IT技術者が人材不足の現在、優秀なエンジニアは様々な会社から声がかかることもあるでしょう。その中の選択肢の一つとして「副業可」の企業を選ぶエンジニアが増えています。優秀な人材を確保・定着化させるために、副業制度の導入を検討してはいかがでしょうか。
副業をOKとすることにより、経験できる仕事の幅が増え本業の質が上がるというメリットがあります。
社内制度や待遇面などの条件を見直す
エンジニアの市場価値が高まっていることに伴い、待遇条件や給与水準も高まっています。市場や競合他社の給与水準を把握しないまま求人を出してしまい採用ができないという状況に陥るケースも少なくありません。エンジニア募集の求人は非常に多く、超売り手市場の中でエンジニアは企業を選べる立場にあります。当然ながら、企業選定する上で最終的には社内制度や給与などの待遇条件がいい企業を選択するケースがほとんどです。給与は採用ターゲットに合わせて設定し、採用したいエンジニアが希望している雇用条件に近づけることができないか、可能な限り検討するようにしましょう。採用に苦戦している際には今一度、市場を理解したうえで条件を見直しを検討しましょう。
IT・通信系エンジニアとものづくり系エンジニアの職種を細分化し、平均年収を下記にまとめておりますので、ぜひ見直しの参考にしてみてください。
【IT・通信系エンジニア】
≪職種≫ ≪平均年収≫
アプリケーションエンジニア 438.0万円
Webエンジニア 416.2万円
サーバーエンジニア 457.3万円
ネットワークエンジニア 448.3万円
セキュリティエンジニア 489.2万円
テクニカルサポート/ヘルプデスク 379.1万円
社内SE 452.2万円
研究開発 530.3万円
QAエンジニア 367.3万円
ITコンサルタント 625.4万円
インフラコンサルタント 586.2万円
プリセールス 635.8万円
参照元:あの職種とはどんな仕事?doda職種図鑑(全100職種)
【ものづくり系エンジニア】
≪職種≫ ≪平均年収≫
基礎研究 543.2万円
製品企画 712.6万円
機械設計/金型設計/光学設計 455.0万円
回路設計 489.8万円
組み込みエンジニア 501.2万円
整備士/サービスエンジニア 416.0万円
評価/実験/デバッグ 415.1万円
品質管理/品質保証 461.5万円
生産技術 480.3万円
技術営業/FAE 501.9万円
参照元:あの職種とはどんな仕事?doda職種図鑑(全100職種)
外国籍(海外)エンジニアの受け入れ態勢を整備する
日本人のエンジニアを採用したくても、採用に苦戦している企業が多く、その不足を補うために外国人の採用、海外人材を取り入れる企業も増えています。日本での就職を希望する外国籍のエンジニアは有名大学でエンジニアとしてのスキルを学んだうえで、海外から日本での就職を目指してきているためスキルの水準が高く、若くてスキルの高いエンジニアを確保できることが見込めます。優秀なエンジニアほど、給与水準が低い外国やインフラの整っていない国で就職活動をするよりも、人材不足で就職しやすく、給与も高めの日本に出稼ぎにくるケースが多いのです。
海外に目を向けて、外国人エンジニアをターゲット入れることで採用対象の母集団を各段に広げることができます。
一方で、外国籍エンジニアをサポートする仕組みづくりはいくつか必要です。
一つ目に、外国人エンジニアが日本で働くためには、就労ビザの取得・更新が必要になります。入社時だけでなく入社後も定期的に在留資格の更新手続きが必要になります。
二つ目に、日本語に不慣れな外国人をサポートするための日本語の学習支援をすることや文化理解のためのコミュニケーションがとれるような交流の場を設けること、また仕事上のコミュニケーションだけではなく、人事・労務に関する書類やツール等も言語対応できるよう整備が求められます。
最後に、外国人エンジニアは日本人と仕事の価値観やキャリアに対する考え方が異なる部分があります。異なる文化や価値観が社内に与える影響は社内の活性化やグローバル化に繋がるというメリットもありますが、一方で文化の違いや仕事に対する考え方の違いを理解しないまま受け入れてしまうと早期離職に繋がりやすいという側面もあるため、外国人エンジニアが自社に定着し活躍し続けてもらうためにも入社後の受入れ体制をしっかり整えましょう。
まとめ
この記事では、優秀なエンジニアを採用するためのステップをご紹介しました。
ステップ2:採用計画を明確に立てる
ステップ3:3C分析を行い、エンジニアへアピール出来る強みを考える
ステップ4:優秀なエンジニアにも選んでもらえる求人広告・求人票を作成しておく
ステップ5:優秀なエンジニアとの接点を出来るだけたくさん作る
ステップ6:優秀な人材を見抜き、エンジニアにも「入りたい」と思ってもらえる面接体制を整える
エンジニア採用は難しいと言われていますが、上記の内容を確認、対策することにより優秀なエンジニアの採用へと繋げることができます。自社のエンジニア採用を再度見直し、今後の採用活動の参考にしていただけますと幸いです。
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