「求人広告で使用してはいけないNGワードって何があるの?」
、、、と考えたことはありませんか?
法律に反している記載や求職者に不利益がある記載を求人広告にすることができません。
また、掲載されてとしても途中で掲載が止まる可能性があります。この記事で求人広告でのNGワードの確認を行いながら人事の方や採用担当の方は法的な観点も持って原稿の作成や表記チェックを行いましょう。
目次
求人広告のNGワードまとめ
求人広告NGワードを以下にまとめています。法律に沿って解説していきます。
項目 | NGワード | 表示OK例 |
男女雇用機会均等法 | ・男性限定/男性歓迎 ・女性限定/女性歓迎 ・主婦歓迎/主夫歓迎 ・働くママ歓迎 ・男性優先/女性優先 ・男性〇人募集/女性〇人募集 ・女性秘書/営業マン/OL歓迎/看護婦/ウエイター/カメラマン ・女性のみ一次面接スキップ ・男性のみ適性検査なし ・男性は経験者のみ/女性は未経験歓迎 ・男性は選考優遇、女性は選考優遇なし ・男性(女性)は未婚の方のみ ・子どもがいる方はNG | ・男性活躍中/女性活躍中 ・男性多数在籍/女性多数在籍 ・主婦(夫)歓迎 ・秘書/営業スタッフ/看護師/ホールスタッフ/撮影スタッフ ・募集人数〇名 |
雇用対策法 | ・○○歳以下の方募集 ・○○歳以上の方募集 ・○○歳以上は適性検査あり ・若い方歓迎 ・○○代歓迎 ・○○歳以上はアルバイト ・○○代の方は営業職 | ・年齢不問 ・学生歓迎 ・全員適性検査を実施 ・20代活躍中 |
職業安定法 | ・日本国籍の方のみ ・外国籍の方優遇 ・外人 ・先進国出身の方/中進国出身の方/後進国出身の方 ・原住民 ・特殊部落/被差別部落/同和地区 ・身長が○○cm以上の方/体重○○以下の方 ・コミュニケーション能力が高い方 ・明るい方優遇 ・通勤○○分以内の方優遇 ・○○市に在住の方優遇 ・色盲、色覚異常 ・ブラインドタッチ ・明るい方/暗い方/元気な方/かわいい方/かっこいい方 ・紙が短い方 | ・日常会話が可能な方 ・留学生歓迎 ・外国人 ・現地人 ・コミュニケーションを取りながらお仕事ができる方 ・色覚障害 ・タッチタイピングができる方 ・元気な挨拶ができる方 |
男女雇用機会均等法に反するNGワード記載2選
男女雇用機会均等法に反する求人広告(求人票)記載は主に下記2つがあります。
- 性別を限定した募集
- 男女で採用基準を変える
下記で詳しく解説していきます。
性別を限定した募集の求人広告(求人票)記載NGワード例
男性だけの募集、女性だけの募集などといった、特定の性別を理由とした表現は男女雇用機会均等法で禁止されています。
【求人広告(求人票)記載NGワード例】
- 男性限定、男性歓迎
- 女性限定、女性歓迎
- 主婦歓迎、主夫歓迎
- 男性〇人募集、女性〇人募集
- 営業マン、OL歓迎
- 看護婦
- ウエイター
- カメラマン
●例外で性別を限定した求人広告(求人票)募集をすることもできます。
仕事内容の関係上など、性別やむなく限定されてしまう場合は性別制限をすることができます。
- 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
- 守衛、警備員等のうち防犯上から男性を募集・採用する場合
- 宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上の必要性から特定の求職者を募集・採用する場合
例えば、宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上の必要性から特定の求職者を募集・採用する場合では、女子トイレの清掃員として、女性を限定して募集するなどの状況があります。
ポジティブ・アクションと呼ばれる項目があり、男女比の格差を解消する為に女性限定で募集する際は求人広告(求人票)でポジティブ・アクションとして女性限定で募集することが認められています。(女性従業員が全体の4割を下回っている場合)
男女で採用基準や選考を変える【求人広告(求人票)記載NGワード例】
男女で採用基準を変えることは男女雇用機会均等法で求人広告(求人票)での記載を禁止されています。
そのため、男女で採用基準が違う旨の内容を求人広告に記載することはできません。
【求人広告(求人票)記載NGワード例】
- 女性のみ一次面接スキップ
- 男性のみ適性検査なし
- 男性は経験者のみ、女性は未経験歓迎
- 男性は選考優遇、女性は選考優遇なし
上記のNGワードの例のように限定した性別で求人広告に選考を優遇する記載をすることができません。
最低賃金法に反する記載
最低賃金法に反する求人広告(求人票)の記載は最低賃金を下回る金額を記載があります。
下記で詳しく法律に沿って解説していきます。
最低賃金を下回る金額を求人広告に記載するのはNG
最低賃金には「地域別最低賃金」と「特定(産業)最低賃金」の2種類あります。
最低賃金を下回る金額で合意して雇用契約を結んだとしても法律上無効となります。
また、試用期間、研修期間中でも原則として最低賃金を下回ってはいけません。
地域別最低賃金では、都道府県ごとに最低賃金の金額が異なるので注意が必要です。
(NGワード記載例)
長崎県の2023年11月6日現在の最低賃金は898円なので、898円を下回る金額を記載できません。
福岡県は941円なので、941円を下回る金額は記載できません。
特定(産業)最低賃金では、都道府県毎の特定の産業に最低賃金が存在します。
東京の特定(産業)最低賃金を紹介いたします。※2023年11月6日現在
- 鉄鋼業、871円
- はん用機械器具、生産用機械器具製造業、832円
- 業務用機械器具、電気機械器具、情報通信機械器具、時計・同部分品、眼鏡製造業、829円
- 自動車・同附属品製造業、船舶製造・修理業,舶用機関製造業、航空機・同附属品製造業、838円
地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の両方が同時に適用される場合は、高い方の最低賃金額が適用されますので、注意が必要です。
最低賃金を知りたい方は以下の厚生労働省のサイトから確認することができます。
地域別最低賃金:
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html
特定(産業)最低賃金:
https://pc.saiteichingin.info/table/page_indlist_nationallist.html
試用期間でも最低賃金を下回ってはいけないと記載しましたが、最低賃金の減額制度が存在します。
下記が減額の特例許可の対象となります。
- 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
- 試の使用期間中の者
- 基礎的な技能及び知識を習得させるための職業訓練を受ける者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
都道府県労働局長に申請をし、許可をもらうことができれば個別に最低賃金の減額の特例が認められています。
雇用対策法に反する記載
雇用対策法に反する求人広告のNG記載は、年齢を制限した記載はNGワードになります。
下記で詳しく説明していきます。
年齢を制限した記載は求人広告(求人票)記載のNGワード
求人広告(求人票)では原則として、年齢を制限した記載をすることはできません。
下記NGワード例を確認していきましょう。
■求人広告(求人票)記載のNGワード例
- ○○歳以下の方募集
- ○○歳以上の方募集
- 若い方歓迎
- ○○歳以上はアルバイト
- ○○代の方は営業職
年齢制限の例外
●年齢制限をしてはいけないと記載しましたが、例外があります。
例外事由を記載することで年齢制限の記載を求人広告(求人票)で掲載することができます。
例外事由は、「1号」「2号」「3号イ」「3号ロ」「3号ハ」「3号ニ」の全部で6区分あります。
以下で確認していきましょう。
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・例外事由1号 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・例外事由2号
労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
・例外事由 3号イ
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・例外事由 3号ロ
技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
・例外事由 3号 ハ
芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
・例外事由 3号 ニ
60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合
引用: https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000158624.pdf
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上記に当てはまる場合は、年齢を制限した記載をすることができます。
●「例外事由3号のイ」を記載する際の例
・28歳未満(例外事由3号のイ、キャリア形成のため)
・例外事由3号のイ・40歳未満(長期勤続によるキャリア形成のため)
上記の例のように記載することで年齢を制限した記載をすることができますが、
年齢を制限した記載する場合は、
・法令名を記載すること(例外事由3号のイなど)
・職業経験を問わない募集であること
・期間の定めのない労働契約の対象としての募集であること
上記の条件がありますので注意が必要です。
労働基準法に反する記載
労働基準法に反する求人広告のNG記載は主に労働時間についてのNGワードがあります。
下記で詳しく解説していきます。
労働時間についての求人広告(求人票)NGワード例
実際の条件と乖離した求人広告記載や就業時間の記載がない場合はNGワードです。
また、就業時間に残業時間を含んだ求人広告(求人票)に記載もしてはいけません。
下記のような始業時間のみの記載はNGです。
(求人広告NG記載例)
勤務時間9:00~
そのため下記のように、始業時間と終業時間の記載をしましょう。
・勤務時間9:00~18:00 ※実働時間8時間
●変形労働時間制を記載する場合は下記の注意が必要です。
- 変形労働制である旨の記載
- 期間内の労働時間の上限を超えた記載はできない
- 想定労働時間と「日・週・月」の単位の記載が必要
(例)想定労働時間40時間/週
職業安定法に反する記載
職業安定法に反する求人広告(求人票)記載は主に2つあります。
- 実際の労働条件と乖離した記載
- 特定の人を差別・優遇
下記で詳しく解説していきます。
実際の労働条件と乖離した記載はNG
求人票に記載している情報と実際の労働条件が乖離した記載は禁止されています。
求人広告(求人票)NGワード例
- 求人票で募集している企業と、実際に募集している企業が違う(企業名)
- 「正社員」募集と記載しているにもかかわらず、実際は「アルバイト」の募集
- 求人票では「事務職」で募集しているのに、実際の募集は営業職など求人票と異なる記載
- 求人票では月給30万と記載しているのに、実際の月給は20万など求職者を騙すような記載
- 上場企業ではないのに、上場企業と記載することはNG
おとり広告と判断されないように事実や実態に合ったの求人情報を求人広告に記載しましょう。
特定の人を差別・優遇記載はNG
特定の人を優遇したり差別するような記載はできません。
下記で詳しく説明していきます。
求人広告(求人票)記載
- 国籍を限定した記載
- 宗教、思想、信条などで差別するような記載
- 性格や体条件を限定した記載
- 特定の地域に居住している方限定している
- 心身の障がいを想起させる記載
- 倫理、道徳、社会秩序、公序良俗に反する記載
求人広告(求人票)NGワード例
- 日本国籍の方、外国籍の方優遇、外人
- 仏教の方歓迎、仏教の方NG
- 容姿端麗な方
- 身長が○○cm以上の方、体重が○○以下の方
- 明るい方優遇
- 通勤○○分以内の方優遇、○○市に在住の方優遇、出身地が○○な方
- 色盲、色覚異常、ブラインドタッチ
上記例のように差別的な表現、優遇するような記載は求人広告に記載できませんので注意が必要です。
写真を使用する際の注意点
NGワードではないですが、写真にも著作権・肖像権などがあります。
著作権を気にしないで写真を使用して、著作権に引っかかってしまうなんてことも、、、
- 社員の写真を使用する場合
- キャラクターやロゴ
下記で詳しく説明していきます。
社員の写真を使用する場合
現在就業している社員の写真を求人広告等に使用する場合は本人の許可が必要です。
本人の許可なく写真を使用することはできません。
また、退職した社員の写真を使用することもできませんので、求人票に退職した社員が写っている場合はすぐに写真の変更や切り取りを行い、退職した社員が写らないようにしましょう。
キャラクターやロゴ
写真を使用する際はキャラクターやロゴなどが写らないように注意しましょう。
写真にキャラクターやロゴが写っていた場合は、商標登録の侵害に当たる可能性がありますので、すぐに写真の変更を行いましょう。
さいごに、まとめ
今回は、原稿作成の際の表記課題の解決と採用したい人物の採用成功のために、求人広告や求人票で使用してはいけないNGワードをご紹介しました。
うっかり禁止表現を記載していた場合、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
記載してはいけない内容やNGワードの項目は多岐にわたりますので、注意が必要です。
年齢や性別などで差をつけるようことはないように禁止された記載がないか、条件面など正しい記載になっているかの確認を行ってから掲載をしましょう。
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